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地域創生事業COC+事業(H27~R1)

河村繊維株式会社様との対談 (2016年4月1日掲載)

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<河村繊維株式会社様との対談>

3月23日(水)河村繊維株式会社 代表取締役社長 河村 圭三様、総務部労務課係長 野瀬 善弘様が来校され、本校 谷口校長との対談が行われました。

河村繊維株式会社様は、女性向けパンティーストッキング・インナーウエア・レッグケア商品等の製造販売を行なう県内の有力企業です。昭和33年に創業し半世紀以上の歴史を持ち、本校の地方創生推進事業(COC+)へ事業協働機関として参画頂いております。本校を卒業後の就職先として、一昨年1名に続き、本年1名の学生が採用内定を頂いております。今後も本校からの就職促進や共同研究テーマの発掘など地方創生に向けたCOC+事業を推し進める上で双方の連携を深めていくことを確認し合いました。

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( 河村代表取締役社長 ・ 谷口校長 ・ 野瀬総務部労務課係長 )

【谷口校長】

本日はお忙しい中、お越し頂きありがとうございます。

 

【河村社長】

パンティーストッキングが、どのようにつくられるかご存知ですか?ご存じない方が多いので、少しご説明させて頂きます。パンティーストッキングとは、ナイロンとポリウレタン糸で筒状に編み立てる技術により、縫い目かがりのない薄手の靴下のことです。

 

1.カバーリング 2.編立 3.縫製 4.染色 5.セット 6.検査・包装 7.インナー縫製の製造工程により製品化されます。

 

女性の足元のお洒落や冷えなどの予防や防寒用途、編地の伸縮によるサポートで脚線美も期待されております。一時、素足の「生足ブーム」が起こり、秋冬でもそのような足元の女性が増えましたが、現在は、健康志向からタイツやストッキングの着用人口が増えております。

 

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(製品への熱い思いを語る河村社長)

 

 

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【谷口校長】

御社の創業は奈良高専設立の少し前になりますが、その当時の業界は如何でしたか。

 

【河村社長】

靴下が一般化されウールや木綿製で黒白がほとんどでした。ナイロン製のストッキングが出現し、その丈夫さ、弾力性、美しさの上で、飛躍的な発展を遂げました。弊社も当時は靴下事業からスタートしました。

本社を構える大和高田市や近くの広陵町は靴下の産地として知られております。遠く江戸時代に大和木綿や大和絣の集積地として発展したこの地を基盤に、新繊維の研究開発、自社ブランドによるイメージ戦略などにより、ものづくりを推進してきました。また、国内外メーカーへのODM供給も大幅に拡大し、信頼と実績により多種多様なストッキング類を中心に、各種靴下、アンダーウエアまで高感度の製品を送り出しております。

 

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【谷口校長】

製造工程には様々なノウハウが蓄積されているのでしょうね。

 

【河村社長】

繊維の編み方だけをとっても、丸編(パンティーストッキング・インナーウエア・着圧ソックス等)や、横編(手袋・5本指ソックス等)や、縦編(網タイツ・ソックス等)と、様々な編み方があります。パンティーストッキングの場合は、ポリウレタンに極細ナイロン糸を巻き付けたカバーリング糸により編み立てる事で、収縮性に富んだ丈夫な製品が生まれます。一足に編みこまれた糸を一本に繋げると全長約4kmにもなります。そこには目では確認できない細かな技術があります。現在、人員として編立工程で10名、その後の縫製以降の工程になるほど人員が増え、全従業員数は187名です。編立機や全自動ペアクローザや全自動染色機など全工程で約400台の機械が使われております。パンティーストッキング自動縫製機で世界の「タカトリ」ブランドを確立された株式会社タカトリ様とのお取引を通じて、他社に先駆けてFA化を推進し、フレキシブルでトータルな生産ラインを完備しました。

 

【谷口校長】

非常に細かなところに技術の粋が集約されているのには驚きです。まさに技術ノウハウの極みですね。そのようなノウハウを活用し今後はどのような方向へ事業展開をお考えですか。

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【河村社長】

以前にNHKのテレビ番組「ためしてガッデン」で『足の疲れ&むくみ撃退法には弾性ストッキング!』と言うタイトルで、弾性ストッキング(着圧ストッキング・ソックス)が紹介されました。足のむくみや疲れ、足のつりの原因を解消し、静脈の広がりによる血液の逆流を防ぎ血行促進の効果が取り上げられました。病院で用いられている弾性ストッキングは一般的には医療機器です。圧が強く、履きにくいという欠点があります。そこで、一般の人向けにドラッグストアや通販でも手軽に買えるタイプの段階圧力設計のストッキングや寝ながらケアできる商品により、医療用と同じ効果が期待できます。近年、グローバル化に伴い若年労働者不足や人件費高騰への対応に加え、海外の消費地への直接的な立地を目的とした繊維企業の海外進出が活発化しました。しかし、弊社においては海外進出せずに、国内に生産拠点を置いて、国内のニーズに対応し、多方面からのアプローチを試みております。現在は、特に健康志向商品に力を入れております。

 

【谷口校長】

色々なご苦労があるかと思いますが、御社のものづくりで特に課題と感じておられる点はどのようなことでしょうか。

 

【河村社長】

生活の多様化と健康志向の増大が進むこれからの時代、弊社には各方面からの期待がますます高まります。同時に人材育成は欠くことのできない急務でもあります。柔軟な発想と色々なことに取組む向上心を持ち、自分に向いた環境づくりを社内教育において身につけて頂きたいです。奈良高専から今年度入社される情報工学科卒業予定者の方にも大いに期待しております。生産管理業務など重要業務を中心に幅広く活躍してもらえる人材になって頂きたいと思います。河村グループでは、加工・製造・販売を担当する各社各部門から集まる情報をグループ内のホストコンピュータで一元管理し、各部門とのネットワークによって共有化しております。こうしてFA化や情報化を図り、いち早く最先端かつグローバルな視点でのものづくりを推進して参りましたが、商品化直前の品質チェックは多くの人員を投入し目視で行っております。製品の穴空きやシミ、汚れなどを自動判別できる機器があれば検査の精度向上、生産の効率化に繋がります。このような自動検査機器の開発が可能か、是非、奈良高専でご検討頂ければと思います。

 

【谷口校長】

画像処理やレーザー検知など関連しそうな技術の知見がある本校の先生との間で、一度技術相談の場を設けさせて頂ければと思います。ご都合のよいタイミングでお声をかけて頂ければありがたいです。

また、本校でもCOC+事業を通じて学生の地域に対する愛着や地方創生への使命感を増やす教育を行い地元企業様の求める人材育成に取組んでいきたいと思います。

御社では日頃の心構えとしてどのようなことを大切にされておられますか。

 

【河村社長】

私自身、入社時、下積みの仕事をたくさん経験しました。現場育ちだから、機械のこともわかっております。見ているだけではわからないコツやつらさを知っております。おかげで経営者となった今でも現場従業員と本当の意味で苦労を共有することができております。下積みの仕事の経験が若い従業員たちへの人材育成にも活かされていると思います。うまく仕上がらない時に従業員には「糸の気持ちになってみな。」と言い続けております。対人関係と同じで、相手が人かモノかの違いはあっても相手の気持ちになることが大切だと考えおります。

 

【谷口校長】

本日は、ものづくりの最前線における貴重なお話をお聞きすることができました。本校学生たちの人材育成にも大いに参考にさせて頂きたいと思います。また、ご相談頂いた製品の自動検査機器につきましても今後、御社と密に情報・意見交換をさせて頂きながら前向きに取組んでいきたく考えております。

本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

 

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※今後も河村繊維株式会社様とは繊維分野の様々なテーマで連携を深めていくことを確認し合い、和やかに対談を終えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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