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校長挨拶
校 長 後藤 景子 GOTOH KEIKO
奈良高専は、今から50年余り前の高度経済成長期に、優秀な技術者を養成する機関として1964年4月1日に創立されました。2004年4月1日の法人化で、独立行政法人国立高専専門学校機構の傘下に入り、2014年11月1日には創立50周年記念式典を挙行しております。この間、高専で実施してきた実践的技術者教育の成果は高い評価を受け、卒業生の多くは中核技術者として活躍しています。 就職率は大学などの他の教育機関と比べても極めて高く、毎年ほぼ100%希望の企業に推薦で合格しております。
奈良高専では、中学校卒業後5年間の本科、その後2年間の専攻科が設置されています。専攻科を修了後、「大学改革支援・学位授与機構」の試験に合格すれば学士(工学)の学位が授与されます。また、4年生から専攻科2年生までの「システム創成工学」教育プログラムが、2005年度に国際的に通用する技術者教育の日本技術者教育認定機構(JABEE)認定を受け、技術者教育のグローバルスタンダードに合致していると認められました。一貫した教育方針のもとに、本科では一般教育科目と専門教育科目をバランスよく学習し、年次進行とともに専門教育科目、実験・実習の時間が増えるカリキュラムを実施しています。5年次になると教員の指導のもとで少人数制の卒業研究が行われます。在学中には大学受験がなく、各種競技会やスポーツ大会に打ち込むことができ、豊かな人間形成に繋がります。現在は卒業生の約6割が、本校の専攻科に進学、または大学学部の3年次に編入してより高度な技術者を目指しています。また、進学した者の多くは大学院に進学し、専門性を深めて創造的技術者・研究者として活躍しております。
ものづくりのおかげで日本は世界有数の経済大国になりましたが、これからは汎用品の大量生産では世界の競争には勝てません。生産量や価格よりも性能や品質を重視した生産を行う必要があります。そのためには最新の研究成果を技術開発に利用し、これまでにはない高機能・高性能製品を創り出すシステムが必要ではないかと思っています。これを担う創造的技術者の養成には、専攻科のより一層の充実や大学院への進学が有効と考えています。
2019年度から国立高専機構第4期中期目標・計画期間に入り、奈良高専では、さらなる高度化・特色化を目指し、正課の工学教育に加えて、正課外の二つの教育プログラムをスタートさせております。産業のグローバル化や異分野の技術の融合複合化に伴い社会が求めるエンジニア像が変化していることに着目したもので、多様な担い手が集まるダイバーシティ環境で、協働して新たな価値を創造できるエンジニア養成を目指します。具体的には、グローバルエンジニアリーダーや女性エンジニアリーダーの養成です。いずれも文部科学省の事業採択を受け、「グローバル工学協働教育による国際競争力を有するプロフェッショナルリーダー人材の育成」および「女性エンジニアリーダー養成のためのしなやかエンジニア教育プログラムの構築と全国展開」として実施しております。
今後とも、本校の教育・研究に対してご理解とご支援を引き続き賜りますようお願い申し上げます。