K-§MART SEEDS集次世代二次電池を志向した高容量活物質の開発

概要

電池の高性能化のためにより高容量で安全な電池の開発が進められている.しかし,現状の電池の仕様については20年以上変化が無く,急速な革新技術の導入が求められている.電池容量の大幅な容量増加を実現するためには,理論容量密度が大きな材料の提案と,近年急速に開発が進む固体電解質を組み合わせる技術が必要であり,我々は,独自の物質合成・電池評価技術を用いることで次世代型二次電池用正極材料の創製を目指す.研究開発の概要

従来技術
現行のリチウムイオン電池における正極材料成分のリチウム遷移金属酸化物系無機材料の容量密度は約150 Ah/kg,電力換算で600Wh/kgが限界となっている.
優位性
正極活物質を我々の開発した材料に置き換えると,容量密度はおよよ800~1100 Ah/kg,電力換算では2000Wh/kgレベルの材料を提案できる.

特徴

正極活物質候補の中で最大の理論容量を有するものは硫黄(S8)であるが,導電性を有しないために,正極材料作製時には十分な導電助剤が必要となる.そこで,硫黄に有機基を導入することで,有機基が導電性等の機能を発現すると,硫黄部位の高容量が活かされた新規正極活物質が開発できるとの仮説を立てて,材料のスクリーニング試験を実施している.現在のところ,最高で1400Ah/kgと単体の硫黄に近づく容量を有する材料や,正極中の活物質の含量が70%でも充放電動作できる材料が見だされている.このように,容量拡張の観点では優れている有機系正極活物資ではあるが,充放電の繰り返しで容量が減少しやすい問題を抱えている.この解決策としては,適切な正極活物質の構造設計による導電助剤との相互作用改善や,電解液としてイオン性液体を用いる,固体電解質との組合せる等を検討していく.有機ポリスルフィドを正極活物質として導入した二次電池の試作と高容量動作 各種正極活物質の合成法開発と無溶媒プロセスの開発 有機系材料を導入したリチウム二次電池のコインセル作製と電池評価 研究関連設備

実用化イメージ・想定される用途
・次世代型ウェアラブル端末向け二次電池
・EVの動力以外の車載品の電源
・携帯電話基地局の電源
実用化に向けた課題
・正極材料中の活物質の含有率向上のための作り込みノウハウの構築
・正極活物質の物質合成における低価格プロセスの開発をさらに追及

研究者紹介

谷藤 尚貴(たにふじ なおき)researchmap

米子工業高等専門学校 物質工学科 准教授

研究者からのメッセージ

本技術は,校内の青木薫教授,伊達勇介准教授,清水剛志特命助教で構成するチームにより開発を進めております.共同研究,サンプル提供には対応可能ですので,ご連絡をお待ちしています.

研究キーワード

二次電池

正極活物質

ジスルフィド

知的財産権

「ジスルフィドポリマーの製造方法」特許5852323号
「スルフィドポリマー化合物、正極活物質、正極、及び非水系二次電池」特許6740304号
「有機ポリスルフィド化合物の製造方法」特許6241918号

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