熱電材料は、ゼーベック効果(熱→電気)およびペルチェ効果(電気→熱)を利用して熱エネルギーと電気エネルギーを相互に直接変換できるものであり、排熱を電気エネルギーとして再生利用する分野等で期待されています。本研究室では環境に優しい熱電材料の高性能化に関する研究開発を推し進めています。
熱電変換性能はZT=α2T/(ρκ)で示される無次元性能指数 ZT で評価され、この値が大きいほど高性能であると言えます。ここで、αはゼーベック係数、Tは絶対温度、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率です。本研究室では「キャリア濃度最適化による高性能化」と「熱伝導率低減による高性能化」の両者を同時に発現させることで、性能指数Zのさらなる高性能化を目指しています。キャリア濃度の最適化については、電気的なアプローチとして、アクセプター元素添加量を最適化します。一方、熱伝導率の低減については、構造的なアプローチとして、重元素を添加することで格子振動を抑制します。熱電性能を向上させるために、電気的なアプローチであるキャリア濃度最適化と、構造的なアプローチである重元素添加の両者を同時に発現させようとするところが本研究の学術的特徴です。Mg2Siへの重元素(Sn)添加による熱伝導率の約60%低減成功
志賀信哉(しがしんや)researchmap
新居浜工業高等専門学校・環境材料工学科・教授
環境に優しく低コストで高性能な熱電材料の開発に取り組んでいます。
熱電変換
再生可能エネルギー
放電プラズマ焼結(SPS)
ゼーベック効果
電気抵抗率
熱伝導率