今後のIoT化の基盤となる大容量無線通信では,信号検出(受信信号から送信信号を推定する過程)にかかる計算量が莫大であるため,その計算量を削減する,確率伝播法を用いた信号検出(BP信号検出)が提案されている(図1)。本研究では,BP信号検出での検出精度を左右するパラメータをAIを用いて学習し,設定することで,その性能の向上を目指します。
BP信号検出は,繰り返し計算を用いた信号検出の一つで,計算量の少なさと信号検出精度の高さから次世代無線通信での適用に期待されています。 昨今の研究では,さらなるBP信号検出の精度向上のため,信号検出を誤る際の原因とそれを回避する方法が模索されています。信号検出が正解する際の振る舞いは,繰り返し計算を行うと推定値が徐々に正解に近づきますが(図2-(a)),誤る際は,推定値が2周期で運動することが明らかになっています(図2-(b))。それを回避する一つの方法として,2周期を抑制する項を導入することで,信号検出の精度向上に成功しています(図2-(c))。しかし,その項の大きさによって精度は大きく異なり,適切な大きさは明らかになっていません。本研究では,その項の大きさを,AIに学習させ,適切な大きさに設定することで,さらなる精度向上を目指します。
迫田 和之(さこだ かずゆき)researchmap
都城工業高等専門学校・電気情報工学科・助教
確率伝播法は他の分野でも応用されています。共同研究等をご検討の際はご連絡ください。
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