お知らせ

奈良高専 専攻科「地域社会技術特論」成果発表会を終えて

更新:2023年08月18日

~水素エネルギー社会における人材育成に向けた教育実践の取組~

GEAR(減災・防災[エネルギー]ユニット)KEA  竹原 信也

奈良高専ではGEARの減災・防災[エネルギー]ユニット活動の一環として、環境・エネルギーユニット(サブリーダー奈良高専谷口教授)とが連携して、専攻科科目「地域社会技術特論」(1年次必修)において水素エネルギー人材育成に向けた試行授業に取り組んできました。 4月以来、「地域において水素普及に向けた課題は何か」「水素エネルギー活用のニーズはどこにあるのか」をテーマに、学生達と共にグループワークを進めてきました。

5月30日(火)の中間報告会では「トヨタユナイテッド奈良」様にご協力いただき、水素燃料電池車MIRAIの展示や特別講演を行っていただき、水素エネルギー普及について実際上の観点から様々な学びを得ました。

また7月11日(火)には本校OBで環境・エネルギーユニット・サブリーダーの豊田高専・佐藤雄哉准教授より、水素エネルギー社会実現に向けた課題について自治体アンケートの結果などを交えながら特別講義をしていただきました。


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豊田高専・佐藤雄哉准教授の講義後の挨拶の様子


学生達は、こうした専門家の講演やアドバイスなどを踏まえながら自分たちのテーマを深化させ最終発表に向けて準備を行ってきました。
そして、去る2023年7⽉25⽇(⽕)、最終発表会が行われ、各グループは、技術的な課題解決法の提示や地域資源(寺社仏閣や観光)を活用した普及のためのアイデアなど様々な内容・視点のプレゼンテーションを行いました。


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岩谷瓦斯株式会社・生産本部 茅島部長


今回は、GEAR活動の一環として、「岩谷瓦斯株式会社」の生産本部 茅島部長、総務人事部 三浦部長がお越しいただきました。また、水素ガス部マネージャーの原口様にはオンラインにてご参加いただきました。
奈良県の水素ステーションの運営もされている観点からも、学生の発表に講評をしてくださいました。また防災・減災[エネルギー]ユニット・リーダーの奈良高専・⼭⽥准教授もオンライン参加しました。

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【 発表学生の声 】

縄手 祥希さん(物質創成工学専攻)
今回の成果発表会では法律的な面からの見解は考えていませんでしたが、実際に企業の方からのご意見として、法整備がまず必要だなどの意見があったことに、新鮮さを感じました。逆に、企業の方々は、法律的にできないから、考えていないアイデアを、学生のうちにはどんどん出して行けるという気付きをもらいました。水素社会実現には、技術面・経営面・法律面からの解決が必須であることを再認識できました。

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「水素エネルギーが普及した社会(脱炭素社会)においてどのような知識やスキルを備えた技術者が必要となるのか」
今回の奈良高専の試行授業を通じて、私たちはこの問いを考え続けてきました。
例えば、水素ステーションの見学に行った際、それらが当然に石油の採掘・精製・流通・使用とは異なる知識・技術が用いられることを改めて認識させられました。
当たり前といえば当たり前ですが、ゼロカーボン社会の実現が近くなればなるほど、その専門知識・技術を備えたエンジニアの育成も急務となります。

 

学生達の様々なアイデアや創意工夫を間近で見ながら、そうした社会がもう目の前に来ていることを実感せずにはいられませんでした。 社会の要請に応えることができるように(そしてその先も見越しながら)、どのような技術者教育が必要なのか。高専はその問いに答える努力と教育実践を続けていくことになります。そしてその際には、教育機関だけでなく企業、地域社会も手を取り合って、共に考えていくことが重要であるということを強く感じました。
我々は、学生アンケートの分析結果なども踏まえつつ、今回の試行授業の成果と課題をまとめていく予定です。今後も「脱炭素社会において必要な知識とスキルを備えた技術者育成」について考えを深めていきたいと思います。
今回の授業に参加して頂いた学生、先生方、企業の皆様に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

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