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≪第5回 COC+政治・経済 株式会社 品川工業所 様による特別講演 (2017年7月31日掲載)≫
第5回COC+政治・経済(担当教員:竹原 信也准教授)では、平成29年7月13日(木)、5・6限目に機械工学科3年生を対象に、株式会社 品川工業所 代表取締役社長 庄野 明様を講師としてお招きし、奈良中央信用金庫様にご同席いただき、地方創生コラボ企画としての特別講演を開催いたしました。
奈良県にある株式会社 品川工業所様は、餅つき機やたまご焼成機などの食品加工機械・製菓機械の製造を中心に、混合攪拌機・造粒機などの理化学用機械の開発・製造・販売までを手がける明治43年創業の老舗企業です。多様化・複雑化、高品質化する業界のニーズに対応し、技術とハートで食・未来を拓き続けておられます。
前半の特別講演では、「MADE in NARA. 世界の食を支える100年企業」と題して、「SHINAGAWA 総合カタログ」を見ながら、庄野社長から詳しい会社概要や創業理念等のご紹介をいただきました。はじめに、社章のサンキュウマークの由来や社訓の「感謝・研究・前進」のサンキュウ精神についてご説明いただき、福利厚生や社会貢献のお話を伺いました。つぎに、「品川工業所の歴史」を創業期・成長期・開発期に分類した年表をもとに、歴史を振り返りながらご説明をいただきました。
【株式会社 品川工業所 代表取締役社長 庄野 明 様】
【特別講演の様子】
以下は、庄野社長がご説明されたものの中から、主な年代の歴史をあげさせていただきました。
≪株式会社 品川工業所様の歴史≫
年代
主な歴史
庄野社長のコメント
創業期
明治から
昭和20年代
「昭和3・6・10年 全国菓子大博覧会にて、製菓機器が一等金牌を受賞」 この当時は、3~4年に一度の開催である為、間隔があいているように思われますが、連続受賞しております。 成長期
昭和30年代
「昭和36年 モダンミキサー 開発
(現代の家庭用の餅つき機やホームベーカリーの基本構造を作りました。)」当時は各家庭には、餅つき機やホームベーカリーがございませんでした。しかし、この特許が切れてから各家電メーカーが家庭用餅つき機を製造しました。その際に、大手家電メーカーから「家庭用餅つき機をつくらないか?」とのお誘いがありましたが、創業理念である“己の為に財を希わず”から、自社の利益を優先せずに業務用機械メーカーとして、取引先のお客様のことを第一に考えて、お断りしたという経緯があります。 開発期
昭和40年代
から平成
「昭和46年 全自動連続たまご焼き機 開発(これまでの内食主体の食事状況が徐々に外食・中食が普及するにつれ大量調理機械の需要が高まっていきます。)」 昨今は東南アジアを中心に日本食ブームです。また、日本ではコンビニ用弁当等で全自動連続たまご焼き機が、かなり利用されています。 開発期
昭和40年代
から平成
「平成18年 高速混練造粒機“トリプルマスター” 開発(大阪府立大学と共同開発)」 大手製薬メーカーから依頼があり、大阪府立大学が共同開発先を探していたが、中々要望に応える企業が現れなかった時に、創業理念である“客の為に責を辞せず”に基づき「お客様の要望からは逃げてはいけません。挑戦しなさい。」という創業者の考えから「是非やらせてください。」と挑戦し、成功した経緯があります。
その結果、「平成19年 第29回食品産業優良企業等表彰 開発部門に於いてトリプルマスターが農林水産大臣賞を受賞」
さらに、「平成20年 第一回奈良ビジネス大賞に於いてトリプルマスターが最優秀賞を受賞」
いたしました。
学生は、株式会社 品川工業所様の創業理念に基づき、経験と新たな技術ノウハウの習得により、実績を積み上げ大きく前進されてこられた歴史について知ることができました。
さらに、コンビニ・スーパーのお惣菜や弁当・給食などの食品加工業界や菓子・パンの加工業界、医薬品・化粧品などの製造業界と幅広い業界に対して様々な製造装置を提供されておられ、それぞれの製品についてご案内いただきました。学生は、実際に、コンビニ・スーパー・冷凍食品会社で使われている「フラット型炒め機 AQ-F型」やシンガポールで行われた展示会で出展された[たまご焼成機(ロールタイプ)]の動画を目にし、自分たちの身近にある食品が株式会社 品川工業所様の製造した製品からできていることを知りました。
【動画 フラット型炒め機 AQ-F型】
【動画 たまご焼成機(ロールタイプ)】
最後に、庄野社長から「世界的に日本食ブームですので、特に東南アジアを中心にわが社の製品を使っていただけるチャンスです。今後、奈良から世界へ、市場を求めて進出して参ります。創業以来107年続いたわが社は、これからも皆さんの生活に欠かせないあらゆる食品や生活用品の生産に関わり、日々お客様の求めている新しい製品をつくっていきたいです。この後、事業計画書を見せていただきますが、皆さんから素晴らしいアイデアの提案がありましたら、是非コラボさせていただきたいので、お声掛けください。」と結ばれました。
この特別講演に対する質疑応答の時間が設けられ、学生から「機械製造以外の取り組み」についての質問があり、庄野様から「お客様の新製品の試作に関わる提案や機械操作の指導など。」最近の具体例を挙げたわかりやすいご回答をいただきました。
後半は、学生がグループワークで作成した事業計画書を定められたタイムスケジュールに従って、株式会社 品川工業所様ブースAとB、奈良中央信用金庫様ブースAとBの4つに分かれ発表しました。学生は各班制限時間を精一杯活用して、自分たちの事業計画書の魅力を伝えました。そして、発表内容に関し直接アドバイスをいただき、発表をしていない班は空き時間にアドバイスをもとに改善作業を行いました。
【株式会社 品川工業所 代表取締役社長 庄野 明 様】
【株式会社 品川工業所
総務部長 山本 敦也 様(右側)
営業部 営業企画課 係長 久保 順一 様(左側)】【奈良中央信用金庫
地域創生推進室 室長 山田 章生 様(右側)
本店営業部長 山尾 好司 様(左側)】【奈良中央信用金庫 地域創生推進室 副室長 堀内 厚男 様】
最後に、株式会社 品川工業所様と奈良中央信用金庫様より本講演を通して学生へ総評をいただきました。
株式会社 品川工業所 庄野社長からは、「お疲れ様でした。いろいろお聞きして、奈良県に今ある観光資源をどう活用していくかが、多くの班が取り組まれていた事業計画書のアイデアだったように思います。新しいものが生まれてくるには、“こういうことができたらいいな。”“こういう風になったらいいな。”をかたちにすることです。その際に、“今の世の中にあるのか、ないのか。”“ どんなものが市場に出ているのか。”などの市場分析をする必要があります。今、この商品はどういう状況にあるのかという視点で見ればもう一段違う工夫ができるのではないでしょうか。奈良県の産業を高めていくために、皆さんが真剣に考えてくれているのが伝わってきました。」と、激励のお言葉をいただきました。
株式会社 品川工業所 山本総務部長からは、「ユニークで、楽しいアイデアを拝見させていただきました。皆さんのアイデアを商品化したら、“その商品を実際にお客様が選ぶかどうか。”など、自分たちが実際に買う立場に立って、商品を考えればもっともっとアイデアが生まれると思います。また、この商品を買うときに“自分だったらいくら払うか。”“そのためにはコストをどれぐらいにすれば良いのか”といった立場を置き換えて、逆の発想から考えていけば現実味のある事業計画になると思います。皆さんのアイデアが奈良県の活性化につながればと思います。」とのコメントをいただきました。
奈良中央信用金庫 堀内 厚男様に、「政治経済ワークシート No.9」の答え合わせをしていただきました。そして、「三つの絞りと三つのなぜに答えることで、皆さんの考えている事業計画書がよりよくなります。今、新しいアイデアを言葉や文字にし、事業計画書として作成しました。新しい何かは世の中に変化をもたらし、そこに感動が生まれます。わくわくドキドキするような新しいアイデアとして、皆に共感してもらい感動を与えることができる最終発表会を目指してください。」と、期待を込めてコメントをいただきました。
「政治経済ワークシート No.9」の答え
☆事業計画書をよりよくするために
事業計画書の評価基準
(新規性):アイデアが創造性に優れ、他に無いものである。
(実現性):アイデアは実際に実現の可能性が高い。
(事業性):アイデアは収益が見込め継続的な事業が可能である。
三つの絞り
①(商品)を絞る ②(ターゲット)を絞る ③(知恵)を絞る
三つのなぜに答えよう
①なぜ、この事業が(社会)に必要か。
②なぜ、この事業に(将来性)があるのか。
③なぜ、この事業を(世の中に広めたい)と思うの
【品川工業所 庄野社長】
【品川工業所 山本総務部長】
【奈良中央信用金庫 堀内 様】
学生は、9月に予定されている“グループ発表-奈良中央信用金庫様による評価-”へ向けて、感動を与えるためのプレゼンテーション作成の準備が急がれます。
株式会社 品川工業所 様 (2017年7月31日掲載)